厳然と存在する違い
「TOEIC」のほうで英語や欧米に対するコンプレックスを一つの障害として説明しました。そしてそれをアジア人と欧米人とがCommunicateするときの難しさの理由の一つとして関連づけましたね。しかし、これに関してはもう一つの大きな理由があるのです。
- 私自身、外資企業に勤め始めて長い間思っていました。アジアの人とは非常にComfortableなCommunicationができる。でも欧米人とは少し違う。Communicateはしている。でも何かが違う。あえていえば、Less Comfortableだ、と感じていました。
- それを最近まで私は自分の潜在意識に存在する彼らに対するコンプレックスからきているものではと、漠然と思っていました。
- ある時社内のトレーニングを受けました。「欧米人と働く」という異文化Communicationの訓練です。世界中の社内に何十万人といる非欧米人を対象として長く採用されてきたコースです。
- ここで私は非常にいいことを学びました。ごく簡単に一番印象に残った部分を説明してみましょう:
- 通常Communicationというものは次のようなものを媒体として行われます:
- 話す・聞くというVerbalなOutput/Input
- 話している内容の背景 - Background
- その場の雰囲気 - Formality, Seniority, Location, Atmosphereなどなど
- ところがアジア人と欧米人ではその媒体への頼り方が全く違うのです。日本人をはじめとするアジア系はVerbalなCommunication以外の部分で暗黙にCommunicateする領域が多いのですが、欧米人はそれがほとんどできないということです。アジア系のスタイルを「High context」なCommunicationとよび、その逆が「Low context」communicationです。
- いいかえれば、彼らはその場で言葉、あるいは文書などの明確な形で出てきたものだけを頼りにしてCommunicateしているのです。おのずと間や阿吽といった感覚に乏しいことも分かりますよね。端的な例を挙げれば「一を聞いて十を知る」といわれれば大抵の日本人はぴんときますが、彼らは「Why would it be possible?」とまじめな顔をして聞き返してきます。
- ただし欧米人とはいっても国によってかなり違いがあることは研究の結果から分かっているそうで、一番Low contextなのがアメリカ人(ぷっ、いえる!)、それからカナダ人、ヨーロッパの北側、南側と程度が変わるそうです。はは〜ん、と思う人も多いと思います
- もちろんこれは違いということであってどっちがいい悪いではありません。そしてお互いが自分のスタイルを相手側に少しAdaptしあうことによってより円滑なCommunicationがはかれるということです。そして同じアメリカ人でも個人差もあり、日本での滞在が長い人ではこれは変わってくるそうです。
- これを聞いて私は長い間の胸のつかえが少し取れたような気がしました。単なるコンプレックスではなかったんだ。そして私の心のなかにあったsubtleな欧米人嫌いが少し和らいだような気がしました。
- また、このことは前のページで欧米人がWordingを非常に大切にするといったことと密接に関連づけることができるのです。